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 鈴木三吉商店


2009.7.23


夏柑糖(なつかんとう)。子供の頃、祖母が厚い皮をむき、砂糖をまぶして美味しそうに夏みかんを食べていた。幼かった僕は、その美味しさより酸っぱさが強烈でどうも好きになれなかったものだ。そして、最近その夏みかんが世間から姿を消した。百貨店に行っても甘夏(夏みかんの改良型)やグレープフルーツは各種あるけれど、夏みかんは殆ど見かける事がない。さて、この夏柑糖と云う夏みかんのゼリー。正確には、ゼラチンを使ったゼリーではなく、寒天を使った夏みかんの和菓子だ。京都の老舗の菓子処『老松』が夏の時期だけの御菓子として全て手作業で作る逸品。口の中で寒天がほどける様に溶けていくと、甘味と苦味がバランス良く広がって、爽やかな後味となる。原料となる本物の夏みかんは、今や萩と和歌山の一部だけで生産される貴重な品らしい。時代の流れの中、少しでも長く作り続けて欲しいと思う。

 

昔からずっとこの夏のお菓子を食べてみたいなって思ってました。先日、京都のライヴの時に頂きました。ホントにアリガトウ御座いました。感謝です。



2009.5.1


何かとブランドで語られ事が多い世間。食材も今やブランド指向。そんな中、京都は祇園の一角で商う一軒のうどん店で見つけた逸品が、このネギうどん。関西の出汁が美味しいのは承知だが、このうどんの凄さは上にたっぷりとのせられた九条ネギ。うどんの量といい、丼の大きさも相まってかなり食べごたえ充分なハズなのにスルスルとお腹に収まってゆく。『ご馳走さまぁ』と店を後にする時にも何とも清々しいお腹具合。優しい味に何度も通いたくなる。

 




2009.2.9


『10代の様に…』
時間が空くと時々当ても無く町を歩く事がよくある。そんなぶらぶら歩きに打ってつけの町が下北沢だ。何にも目的も決めずに雑然とした町を歩き、路地を曲がる。テーマ無しの下北沢の町並みにぴったりな歩き方だと思う。
そんなぶらぶら歩きの途中、路上の立て看板に導かれる様に路地裏の小さな店『キッチン…(名前は秘密にしておこう)』に入った。居抜きの物件に自分で内装をやったんだろうか?急場しのぎがそのままになってるような店内の様子。料理は、創作的な洋食だ。試しに、デミグラス・ハンバーグとナポリタンって洋食王道メニューを頼んでみた。美味しい、懐かしい。食べてるうちに店は満席になった。若い娘達から子供を連れたお母さん達、若干年配の方々。こんな客層もこの下北沢らしさか?。何故だろう?、この店には10代だった頃を思い出させる何かがあるのだ。自分が年を取ったって事だろうか?。ちょっとだけヤンチャな洋食屋。何時もセレブリティな食事をしたい人にはオススメしないが、遊び心を持った素敵な大人には是非オススメしたい。

 




2008.11.27


福島県の会津若松。福島は横に広い県で、例えばいわき市(元は平と言ったらしい)は太平洋に面した魚介が新鮮で美味しい町であり、会津若松はもう暫く行けば新潟に入ってくと云う内陸部に位置する。 冬の寒さも厳しく雪に閉ざされるが故にに独特な空気感と文化が育まれてきた。特に夜の空気はトロリと濃密な感覚を覚える。
さて、会津ラーメンとソースカツ丼。町並みを楽しみながら散策すると何とラーメンとソースカツ丼の店が多い事か。そんな中、『めでたいや』と云う店に行ってみた。休日という事も手伝ってか?行列が出来る程の繁盛ぶり。駐車場の車も県外ナンバーが沢山並ぶ。
煮干でとった出汁のアッサリとして奥深いスープにちょいと平たい麺のラーメン。そして、ミニカツ丼。カツ丼はソースカツ丼だか、一見『どこがミニ?』って程の量にビックリ!。たまたまここのソースカツ丼はご飯にキャベツでソースに浸したカツ。会津若松の本筋では、ソースのカツを煮込んでタマゴで閉じる、そんな煮込みソースカツ丼らしい。次回は、そいつを食してみようと思う。

 




2008.10.23


日本各地に相当数存在する神社仏閣の中でも最も重要な位置づけに『出雲大社』があり、その存在感の大きさは日本人の我々ならば誰しもが認め、いつかは出雲参詣に行ってみたいと思ってるハズだろう。
しっかりと神様にご挨拶と日頃の感謝をした後は、お腹が減りますね。出雲の名物、割りご蕎麦です。
小さめの器で三つに分け供される可愛いお蕎麦。薬味をちょいと乗せて、徳利からお出汁をかけて、サッとすすり込むッ。ちょっと田舎風(昔はもっとワイルド系だったと云う)の風味ある蕎麦に甘めのお出汁。
出来れば、別の店にはしごして、釜あげ蕎麦ってのも試してみたい。その土地には、その土地柄溢れた食べ物がある。食はやはり文化だな。

 




2008.9.2


ラーメンを語らせたら我々日本人の場合、千差万別。それぞれの好みの味に『子供時代からずっと慣れ親しんだ』って云う思い入れが入ってくる。自分の場合も生まれ育った掛川のキネマ食堂の支那そばが最高の一杯である。そう考えるとラーメン程難しい食べ物はない様に感じる。さて、そんな中、ある意味ラーメンとは趣きが異なる絶品つけ麺が京都にある。全粒粉で打った歯ごたえたっぷりの麺は、モッチリとしてラーメンと云うより蕎麦に近い。豚骨をベースに濃厚な魚介を合わせたつけダレ。食べ進む途中で、カウンターに置かれた山椒をパラパラと振り掛けてラストスパート。濃厚さとモッチリとした味わいの強さに山椒の爽やかな風味が駆け抜けてゆく。京都での定番がまた一品加わった。

 




2008.8.15


東京は代々木。代々木とは代々続く樹が…と云う意味を持ち、実際にJRの代々木駅からの明治神宮の代々木口を入って行った公園内には、代々木と云う樹木が奉られている。その代々木公園から西に丘を上がった代々木上原。まるで昭和の時代に戻ってしまったような路地に『ハリッツ』と云う名のドーナツの店がある。今回は、敢えてドーナツの写真は詳細しない。勿論、肝心要のドーナツの素晴らしさは言うまでもなく、ふんわりモッチリの食感は口にした瞬間『喜び』がやって来る。ドーナツ好き?のマニア?の間でも大変な人気を誇っているので、急に予約の電話を入れても買えない事しばしば。ただ、直接探して店に辿り着けば大丈夫。昭和の時代にタイムスリップしたかのような設え(民家をただ改造した)のカフェでイタリア式の珈琲とドーナツを楽しめる。勿論、運良くお土産ドーナツ(お一人5個まで)が有れば買って帰る事も出来る。何せ、一回に揚げるドーナツの数が少ない。もっともそれは、揚げたての一番美味しい状態で皆さんに食べて貰 いたいが為である。そう考えると、やはり探し当てて店で食べるのが正確。懐かしい空間と優しいドーナツの味わいに自分が大都会である東京に居る事も忘れられる。素敵な空気に心も舌も癒される。

 




2008.6.11


2年ほど前だったか?、京都を友人と歩いていて「ハンバーグ・ラボ」と云うハンバーグの専門店がオープンを翌日に控えドタバタと準備に追われているのを見かけた。飲食店を手広く経営する友人には、ハンバーグ専門店がかなり気になった様子だった。
本来ならば洋食店のメニューの中の一品。それが、看板の専門店。実は、今俄にハンバーグが大人にブームの兆しなのだ。
考えてみたら自分もブログに肉屋が出店したハンバーグ屋さんをアップした事もある。
今回、ふと目にとまったのは恵比寿の路地を入った店。メニューは、その名も『大人のハンバーグ』。国産牛の最高ランクの肉で丁寧に作られたハンバーグだ。フワフワと口のなかで肉がほどけてく感覚。ご飯に+250円でミニ・カレーが付けられるのも嬉しい。
洋食屋のメニューの独り歩き…、カレー専門店と並んで、ハンバーグ専門店は一般に受け入れるだろうか?、それともブームで終るだろうか?。

 




2008.4.10


国産のブランド牛も今や千差万別。黒毛と言いつつ別物も出回る始末。
さて、京都は祇園で商いの近江牛だけを使った牛肉料理の店。名前を出すのは、勘弁(主人の雰囲気から察した)願いたい。
人それぞれで好みが別れるだろう和牛のブランドだが、個人的に近江牛は別物感がある。その別格の近江牛の色々な部位を確かな腕を持つ主人が様々な調理法で楽しませてくれる。
お昼のコースで全8品。元々、フランス料理の調理人だった主人だか、その調理法に頼り切ってないトコろもまた素晴らしく、京料理の軸をしっかりと持った料理の数々に驚愕する。デザート前の食事、近江牛ステーキに牛肉しぐれ煮を白いご飯にフリカケて。実は、京都、脈々と肉文化が根付く町である。

 




2008.3.14


物にはどの時代でも流行り廃りがある。特に我々日本人は流されやすい民族なので一旦それが流行り始めると良いも悪いも見境がなくなる。この日本の社会に乗り遅れないように生きる事も大変な事だが、逆に同じ事を頑なに続けてゆくのは、もっと我慢がいる事だ。
神田は淡路町の和洋菓子の店『近江屋菓子店』。このレトロなパッケージの中身は、昔ながらのロールケーキ。柔らかフワフワのスポンジと軽くたてた生クリームの昨今の洋菓子とは全く逆のしっかりドッシリのロールケーキ。バタークリームと周りに塗られた杏子ジャムとココナッツ。
僕らが育った時代には、和洋菓子の店が沢山あった。と、云うよりも洋菓子専門なんて店は珍しかった。大概は、普段は和菓子を中心とした仕事をして、片隅でこんなロールケーキが売られていたし、クリスマスのシーズンだけ洋菓子が店の中心を飾った。『懐かしいなぁ…』などと云う気持で触手が動いた。『昔は他に気のきいた物なかったからなぁ』と大した期待もなく口に運んだ。『美味いッ』…、懐かしいとかそんな事じゃなくホントに美味い。本物は
時代も流行りも関係なく、全てを超えて常に本物である。

 



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